超サイヤ人5は実在する?鳥山明ととよたろうを繋ぐ幻の形態の真相
1990年代末から2000年代初頭にかけて、黎明期のインターネットを席巻した伝説のビジュアルがあります。腰まで届く白銀の長髪、全身を覆う銀灰色の体毛、そして鋭い眼光を放つ孫悟空――ファンの間で「超サイヤ人5(スーパーサイヤ人5)」と呼ばれたその姿は、アニメ『ドラゴンボールGT』終了後の喪失感を埋めるかのように世界中のファンコミュニティへ爆発的に拡散しました。
放送終了から四半世紀以上が経過した2026年現在も、検索窓には「超サイヤ人5 公式」「超サイヤ人5 正体」といったワードが絶えません。なぜこれほどまでに精巧なビジュアルが生まれ、いかにして世界規模の都市伝説「ドラゴンボールAF」へと発展したのか。そして現在『ドラゴンボール超』を手掛けるとよたろう氏との歴史的因果関係は何なのか。一次情報と当時の記録を紐解き、ネット社会が生んだ「幻の形態」の全貌を徹底追跡します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:超サイヤ人5は鳥山明氏や集英社・東映アニメーションによる公式設定ではなく、海外ファンアートが発端の完全な非公式形態である。
- 要点2:元ネタは1999年にスペインのイラストレーター・タブロス氏が描いた作品であり、それが「ドラゴンボールAF」の噂と共に世界へ拡散した。
- 要点3:同人版『ドラゴンボールAF』を描いていた作家「Toyble」氏こそが、後に公式漫画『ドラゴンボール超』の作画に抜擢されたとよたろう氏である。
【噂の真相】超サイヤ人5は公式に実在するのか?ネットを席巻した銀髪の正体
結論から明確に言えば、「超サイヤ人5」は公式作品(原作漫画、テレビアニメ、劇場版、公式ゲーム)には一切実在しない完全な非公式形態です。集英社、東映アニメーション、バードスタジオのいずれの公式ライセンス資料にも、超サイヤ人5という変身段階は記録されていません。
それにもかかわらず、なぜ「公式に存在するのではないか」という誤認が20年以上も根強く残り続けているのでしょうか。その背景には、1990年代後半から2000年代初頭にかけて世界中の掲示板や個人ファンサイトを駆け巡った「ドラゴンボールAF(After Future、あるいはApril Fools)」という架空の続編企画の存在があります。
1997年にテレビアニメ『ドラゴンボールGT』が最終回を迎え、原作漫画も終了していた当時、世界中のファンは「悟空たちの新たな冒険」に強い飢餓感を抱いていました。その空白期にネット上へ流出した1枚のイラストが、「GTの続編として『ドラゴンボールAF』が極秘裏に制作されており、そこには超サイヤ人5が登場する」という噂を爆発的に加速させたのです。

原作者タブロス氏と雑誌投稿|超サイヤ人5の元ネタと誕生秘話
この世界的な大混乱の発端となった「銀髪の超サイヤ人5」を描いた人物は、長年ネット上で正体不明とされていましたが、後の調査と本人の名乗り出によって確定しています。元ネタとなったイラストの作者は、スペインのイラストレーターであるダビド・モンティエル・フランコ(David Montiel Franco)氏、通称「タブロス(Tablos)」氏です。
事の発端は1999年5月、スペインの月刊ゲーム雑誌『Hobby Consolas』第92号のファンアート投稿コーナーに掲載された1枚のイラストでした。タブロス氏が投稿したこの作品は、彼が自身のオリジナル企画のためにデザインした「タブロス」というキャラクターであり、厳密には「孫悟空」として描かれたものでさえありませんでした。
しかし、鳥山明氏の筆致を驚異的な精度で再現したその画風と、超サイヤ人4をさらに進化させたかのようなデザインがあまりに秀逸だったため、英語圏のファンサイト『Majin.com』などを経由して瞬く間に転載。「ドラゴンボールGTの続編から流出した孫悟空の新形態・超サイヤ人5」という虚偽のキャプションとともに、インターネットの黎明期特有の伝言ゲームによって世界中へ拡散されることとなりました。
同人誌『ドラゴンボールAF』と「とよたろう」氏の知られざる関係
ネット上に拡散された超サイヤ人5の画像と「ドラゴンボールAF」の噂は、日本国内の同人シーンにも強烈な衝撃を与えました。その噂を現実の漫画として具現化させたのが、当時同人作家として活動していた「Toyble(トイブル)」氏です。
Toyble氏は2000年代中盤、ウェブサイト上で二次創作漫画『ドラゴンボールAF』の連載を開始しました。タブロス氏の超サイヤ人5のデザインを巧みに物語へ組み込み、鳥山明氏の構図やコマ割りを極限まで研究し尽くしたその圧倒的な画力と演出力は、当時の読者の度肝を抜きました。「公式の新作が始まったのか」と見紛うほどのクオリティは瞬く間に大評判となり、同人誌即売会でも長蛇の列を作る社会現象となったのです。
そしてこの物語には、劇的な後日談が存在します。この同人版『ドラゴンボールAF』を描いていたToyble氏こそが、集英社の編集部にその圧倒的な才能を見出され、後に『ドラゴンボール ヒーローズ Victory Mission』、そして正統続編である『ドラゴンボール超』の漫画版作画担当へと抜擢された「とよたろう」氏その人です。非公式のファンアートから始まったムーブメントが、巡り巡って公式の正統後継者を生み出すという、漫画史的にも極めて異例のシンデレラストーリーがここに完結しています。

【実態検証】「身勝手の極意」との違いと非公式形態の強さ設定
ドラゴンボールの形態進化を整理する上で、ファンの間で頻繁に議論されるのが「超サイヤ人5と、公式に登場した『身勝手の極意(銀髪)』は何が違うのか」という点です。ビジュアルとしての類似性や強さの位置づけを、客観的なデータ表で比較・検証します。
| 形態区分 | 公式/非公式・発案者 | ビジュアル的特徴 | 強さの概念・設定 |
|---|---|---|---|
| 超サイヤ人5 (幻の形態) | 完全非公式 原案:タブロス(1999年) 漫画化:Toyble(とよたろう) | ・超サイヤ人3を越える銀灰色の長髪 ・超サイヤ人4系統の銀白色の体毛 ・赤みを帯びた眼光と険しい表情 | 超サイヤ人4を上回る戦闘力倍率。怒りや戦闘本能の極致による純粋なサイヤ人パワーの物理的拡張。 |
| 身勝手の極意 (極) | 完全公式 原案:鳥山明 初出:『ドラゴンボール超』(2018年) | ・ベース状態に近い逆立ち髪の銀髪 ・銀色の瞳、全身を覆う神気のオーラ ・体毛はなく肉体形状は標準 | 神の領域の武術・精神状態。肉体が思考を介さずに自動で攻防を行う「極致の境地」であり、変身形態ではない。 |
| 超サイヤ人4 | 公式(アニメGT) キャラデザ:中鶴勝祥 初出:『ドラゴンボールGT』(1997年) | ・黒髪の長髪(ゴジータは赤髪) ・全身を覆う赤い体毛、尻尾の復活 ・目の周りの赤い隈取 | 大猿のパワーを人間の姿で制御した形態。サイヤ人の野生・原点回帰による圧倒的出力。 |
両者の最大の違いは、「サイヤ人の生物的進化の延長線上にあるか」「神の武術的境地であるか」という思想の根幹にあります。超サイヤ人5は超サイヤ人4の野性味をさらに肥大化させた「形態進化の行き止まり」であるのに対し、身勝手の極意は鳥山明氏が提案した「力で圧倒するバトルからの脱却」という全く別ベクトルの回答でした。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|公式逆輸入の真相
ネット上の掲示板やSNSでは、時折「身勝手の極意の銀髪は、とよたろう氏が同人時代に描いていた超サイヤ人5を公式に逆輸入したものだ」という説が語られることがあります。しかし、これは明確な誤解です。
当時のインタビューや関係者の証言によると、『ドラゴンボール超』における「身勝手の極意」のコンセプトや銀髪というカラーリングは、原作者である鳥山明氏が考案したプロットに基づくものです。鳥山氏は超サイヤ人ゴッド(赤)、超サイヤ人ブルー(青)に続く最上位の境地として、無駄な装飾を削ぎ落とした「銀(白)」を選択しました。
また、ネット上には超サイヤ人5以外にも「超サイヤ人6」「超サイヤ人10」「超サイヤ人インフィニティ」といった無数の画像が存在しますが、これらはすべて海外のファンがコラージュやイラストソフトで作成した非公式な二次創作(ミーム)です。一部の海賊版ゲームや改変ROMに組み込まれたことで更なる誤解を生みましたが、公式の系譜とは一切関係がありません。

【プロの結論】ネット黎明期のミーム文化とコンテンツ受容から見出すべき教訓
超サイヤ人5を巡る一連の現象は、メディア論およびインターネット社会学の観点からも極めて示唆に富む歴史的ケーススタディです。情報の真偽が曖昧だったWeb 1.0時代において、ファンの「続きが見たい」という集合的無意識がひとつのフォークロア(現代の民話)を形成し、それが国境を越えて巨大なカルチャーを築き上げました。
この歴史を踏まえ、ドラゴンボールという巨大コンテンツを鑑賞・受容する上での判断基準を整理します。
【プロの判断基準】ファンアート・同人文化に向き合うための境界線
◆ 二次創作・ミームとして楽しむのに向いているスタンス:
「公式設定とは別個のパラレルワールド」として割り切り、世界中のクリエイターがドラゴンボールという共通言語を通じて生み出したクリエイティビティや情熱、ネット文化史の面白さをエンタメとして味わえる人。
◆ 混乱を避けるために慎重になるべきスタンス:
原作漫画やアニメの正統なタイムライン・公式設定(オフィシャルキャノン)のみを厳密に追いたい人。ネット上に転載されているコラ画像やWikiの非公式データを鵜呑みにせず、集英社やVジャンプ、公式サイトの発信を一次ソースとして確認する姿勢が不可欠です。
【ドラゴンボール 超サイヤ人5】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:超サイヤ人5は『ドラゴンボールヒーローズ』などの公式ゲームに登場したことはありますか?
A1:一度も登場していません。『スーパードラゴンボールヒーローズ』には「超サイヤ人4・限界突破」や「暗黒ゴジータ」など多数のゲームオリジナル形態が存在しますが、超サイヤ人5は完全非公式であるため採用された実績はありません。
Q2:同人版『ドラゴンボールAF』の作者と、現在の『ドラゴンボール超』の作画担当は本当に同一人物ですか?
A2:はい、事実です。同人サークル「Toyble」として『ドラゴンボールAF』を執筆していた作家が、後にプロとしてスカウトされ、現在の「とよたろう」氏として集英社で『ドラゴンボール超』の作画を担当しています。
Q3:超サイヤ人5の元ネタを描いたスペインの作者(タブロス氏)は現在どうしていますか?
A3:ダビド・モンティエル・フランコ(Tablos)氏は現在もイラストレーター・漫画家として活動しており、自身のYouTubeチャンネルやSNS等で当時の誕生秘話や自身のオリジナルプロジェクトを発信しています。
まとめ:20余年を経てなお愛される「幻の超サイヤ人」の歴史的価値
「ドラゴンボールの超サイヤ人5」という存在は、公式の商業展開からは外れた非公式の産物でありながら、ファンダムの熱狂が公式の正統な担い手を育て上げるという奇跡的な軌跡を残しました。
2026年の現在においても色褪せないその銀髪のビジュアルは、世界中のファンが鳥山明氏の世界観を愛し、その先を夢見た情熱の象徴と言えます。公式の『ドラゴンボール超』や最新アニメを楽しみつつ、ネット文化の生んだ伝説的な歴史の1ページとして正しくその背景を理解しておくことで、作品の奥行きをより深く味わうことができるはずです。 (出典: ドラゴンボール スーパー サイヤ 人 5(Yahoo!ニュース))