褥瘡の看護計画完全攻略|OP・TP・EP具体例と評価ツールの極意

目次
褥瘡の看護計画完全攻略|OP・TP・EP具体例と評価ツールの極意
褥瘡の看護計画完全攻略|OP・TP・EP具体例と評価ツールの極意
@ creator • Click to Play Video Inline
🎵 褥瘡の看護計画完全攻略|OP・TP・EP具体例と評価ツールの極意

病棟や在宅、介護施設の現場で受け持ち患者を受け持った際、多くの看護師が頭を悩ませるのが「実効性のある褥瘡の看護計画」の立案です。教科書通りの個別性に欠ける計画を立ててしまい、日々のカンファレンスで指導を受けたり、ケアの介入効果が実感できずに形骸化してしまったりするケースは後を絶ちません。

褥瘡ケアの本質は、患者固有の身体的・環境的リスクを正確にアセスメントし、根拠に基づいた介入とタイムリーな評価を繰り返す循環にあります。本稿では、ブレーデンスケールやDESIGN-R®2020を活用した的確なアセスメント手順から、現場でそのまま活用できるOP・TP・EPの具体例、ポジショニングやドレッシング材の最新選択基準までを徹底解説します。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 要点1:褥瘡看護計画は「予防」と「治癒促進」で目標設定が大きく異なり、ブレーデンスケール(14点以下が高リスク)とDESIGN-R®2020による定量的評価が立案の基盤となる。
  • 要点2:体位変換スケジュールは一律2時間間隔ではなく、高機能エアマットレスの導入や30度側臥位、圧抜き(背抜き)動作を組み合わせた個別最適化が必須である。
  • 要点3:ドレッシング材の使い分けやスキンケア(弱酸性泡洗浄・撥水剤)を正しく連動させ、多職種チームで週1回以上の計画見直しを行う体制が治癒率を左右する。

【臨床現場のリアル】なぜ「褥瘡の看護計画」は形骸化しやすいのか?実態と課題

病棟の電子カルテを開くと、どの患者にも「皮膚統合性障害リスク状態」というNANDA看護診断名のもと、全く同じ体位変換スケジュールとスキンケア手順がコピー&ペーストされている場面を頻繁に目にします。日本褥瘡学会の調査や現場の看護師へのヒアリング調査でも、「業務に追われて計画の見直しが月1回程度にとどまる」「計画が日常ケアのチェックリスト化して機能していない」といった悩みが約7割を占めています。

褥瘡ケアが形骸化する最大の原因は、「リスク予測の甘さ」と「数値化された指標の欠如」です。たとえば、浮腫や低栄養(血清アルブミン値低下)、骨突出の程度、自力体動の有無は日々の全身状態によって刻々と変化します。それにもかかわらず、初回入院時のアセスメントのままケアを固定してしまうことで、新たな発赤やポケット形成を見落とすリスクが高まります。

生きた看護計画へ昇華させるためには、カンファレンスでの主観的な「良くなっている気がする」という感覚を排除し、評価スケールに基づいた客観的データでチーム全員の認識を一致させるプロセスが欠かせません。

当時のメディア報道・掲載写真
【検証資料 1】当時のメディア報道・掲載写真(出典:houkan.kaipoke.biz)

【リスク評価&アセスメント】ブレーデンスケールとDESIGN-R2020の正しい使い方

適切な看護計画を立案する第一歩は、標準化された評価ツールの正確な運用です。褥瘡の「発生予測・予防」にはブレーデンスケール評価表を用い、「発生後の重症度判定・経過観察」にはDESIGN-R®2020評価方法を使い分けるのが鉄則です。

ブレーデンスケールは「知覚の知覚」「湿潤」「活動性」「可動性」「栄養状態」「摩擦とずれ」の6項目(計23点満点)で構成され、14点以下が褥瘡ハイリスク患者の基準値(カットオフ値)と定義されています。特に「摩擦とずれ」が1点(完全な介助が必要)の患者に対しては、除圧だけでなくシーツのしわ防止やポジショニンググローブによる背抜きが計画の最優先項目となります。

一方、すでに褥瘡が発生している場合は、深さ(Depth)、滲出液(Exudate)、大きさ(Size)、炎症/感染(Inflammation/Infection)、肉芽組織(Granulation)、壊死組織(Necrotic tissue)、ポケット(Pocket)の各頭文字を取ったDESIGN-R®2020を用いて点数化します。深さを除く合計点(大文字合計点)を追跡することで、創傷の改善度を客観的に評価できます。

評価ツール・指標対象・評価項目基準値・カットオフ値臨床での活用ポイント
ブレーデンスケール褥瘡発生リスク(6項目・23点満点)14点以下(高齢者・急性期)点数が低い項目へピンポイントで予防ケア介入計画を立案する。
DESIGN-R®2020創傷重症度・経過評価(7項目)合計得点(0〜66点、深さ別)週1回スコアリングし、処置やドレッシング材の見直し判断に直結させる。
褥瘡ステージ分類(NPUAP/EPUAP)解剖学的組織損傷深度(ステージI〜IV、深部組織損傷DTI)ステージI:消退しない発赤
ステージIV:骨・腱の露出
医師や多職種との病状共有、治療計画(デブリードマン等の適応)決定に必須。

【そのまま使える文例集】褥瘡看護計画の具体例(予防・治癒・ハイリスク)

臨床で頻出する3パターンの褥瘡看護計画について、NANDA看護診断に基づいた看護目標とOP(観察計画)・TP(ケア計画)・EP(教育計画)の文例を提示します。患者の個別要因に合わせてアレンジしてカルテに反映させてください。

パターン1:【予防】自力体動困難・低栄養による褥瘡発生リスク状態

看護診断(NANDA-I):皮膚統合性障害リスク状態
看護目標:入院(利用)期間中、仙骨部・大転子部・踵骨部など好発部位に皮膚発赤や表皮剥離が発生しない。

【OP:観察計画】

  • 好発部位(仙骨部、踵骨部、大転子部、肩甲骨部)の皮膚状態(発赤、熱感、硬結、浸軟、乾燥の有無)。
  • ブレーデンスケールによる定期的スコアリング(週1回または全身状態変化時)。
  • 食事・水分摂取量、経管栄養の消化状況、体重推移、血液生化学検査(TP、Alb、Hb、T-Cho)。
  • 排泄状況(失禁の回数、便性状、皮膚の汚染状況)。
  • マットレスの内圧状況、ポジショニングクッションの適合性、シーツのしわや寝衣のヨレ。

【TP:ケア計画】

  • 患者のリスクに応じた体位変換スケジュールの実施(基本2時間ごと、高機能エアマット使用時は状態に応じ2〜3時間ごと、30度側臥位の保持)。
  • 体位変換時およびベッドアップ・ダウン時の「背抜き・足抜き(圧抜き)」の徹底。
  • 失禁時は速やかに弱酸性スキンケアフォームを用いて愛護的に泡洗浄し、撥水性スキンケアクリームを塗布。
  • 踵骨部の完全免荷(クッションを下腿部に配置し、踵を浮かせるポジショニング)。
  • 栄養サポートチーム(NST)と連携し、高タンパク・高エネルギー・亜鉛やビタミンCを含む補助食品の検討。

【EP:教育計画】

  • 患者・家族に対し、同一体位の継続による褥瘡リスクと体位変換の必要性を説明。
  • 患者自身がベッド上でわずかでも体動できる場合は、除圧のためのモビリティ動作を指導。
  • 家族や介護者へ、体を擦らずに洗うスキンケアの手順と撥水剤の正しい塗り方を指導。

パターン2:【治癒促進】仙骨部にDESIGN-RステージII(浅い褥瘡)を認める状態

看護診断(NANDA-I):皮膚統合性障害
看護目標:局所の湿潤環境が保たれ、肉芽形成が促進されて4週間以内に創が縮小・治癒する。

【OP:観察計画】

  • DESIGN-R®2020による創状態の詳細観察(大きさ、深さ、滲出液の量・性状・臭気、肉芽組織の色調、ポケットの有無)。
  • 創周囲皮膚の浸軟、発赤、浮腫、熱感、感染兆候の有無。
  • 処置時および体位変換時の疼痛の程度(NRS等による数値評価)。

【TP:ケア計画】

  • 医師の指示に基づく局所処置の実施(微温湯または生理食塩液による愛護的微圧洗浄、擦過禁止)。
  • 創部の滲出液量に応じたドレッシング材(ハイドロコロイド材またはポリウレタンフォーム材)の選択と適切な貼付。
  • 仙骨部への直接圧迫を回避するポジショニング(左右側臥位を主体とし、仰臥位時は角度を考慮)。
  • 処置前後の鎮痛薬投与や愛護的操作による疼痛コントロール。

【EP:教育計画】

  • 創部を直接手で触れたり掻爬したりしないよう患者に説明。
  • ドレッシング材の剥がれや汚染、浸出液の漏れが生じた際は直ちに看護師へ知らせるよう指導。
活動歴および当時の関連ビジュアル記録
【検証資料 2】活動歴および当時の関連ビジュアル記録(出典:kango-roo.com)

【実践ケアの極意】ポジショニング・体位変換スケジュールとスキンケアの鉄則

どれほど精緻な看護計画を立案しても、日々の看護実践の手技が誤っていれば褥瘡は予防できません。特に重要なのが「ポジショニングの角度」と「スキンケアの洗浄・保護手法」です。

30度側臥位の保持と「圧抜き(背抜き)」の実践

側臥位をとる際、90度側臥位にしてしまうと大転子部に過度な圧力が集中し、かえって深部組織損傷(DTI)を引き起こす危険があります。骨突出部を避けた「30度側臥位」を基本とし、体幹を支える三角形のサポートクッションを背部および大腿部から膝下へ適切に挿入します。

また、ベッドアップ時(30度以上)にはせん断力(ずれ力)が仙骨部や尾骨部に強く働きます。ベッドを起こす際は、まず「足側(膝)を軽く挙げてから頭側を起こす」手順を踏み、起こし終えた直後に背中や臀部に手を入れてシーツと皮膚の突っ張りを解放する「圧抜き(背抜き・スライディング動作)」を1回行うだけで、皮膚にかかるずれ応力を半減させることができます。

スキンケア陰部洗浄手順の標準化

便・尿失禁を伴う患者の臀部は、アルカリ性の排泄物と消化酵素によって皮膚バリア機能が著しく低下しています。以下の手順を病棟で統一することが計画の実効性を高めます。

  • 1. 愛護的な泡洗浄:弱酸性の皮膚洗浄料を十分に泡立て、皮膚を擦らず泡で包み込むように汚れを浮かせる(固形石鹸の直塗りやゴシゴシ擦る拭き取りは厳禁)。
  • 2. 微温湯による十分な流し・拭き取り:ぬるま湯で流すか、湿らせた柔らかい清拭タオルで泡と汚れを優しく押さえ拭きする。
  • 3. 水分の完全な除去:乾いたタオルで優しく水分を吸収させ、浸軟を防ぐ。
  • 4. 撥水性スキンケアクリームの薄膜塗布:皮膚保護用の撥水クリームを小豆大手に取り、白残りしないよう均一に薄く伸ばしてバリア膜を形成する。

【創傷管理と外用薬】ドレッシング材の使い分けと局所治療の最新知見

『褥瘡予防・治療ガイドライン最新版』では、創傷管理におけるTIMEコンセプト(Tissue:壊死組織の除去、Infection:感染制御、Moisture:適切な湿潤環境の維持、Edge:創縁の上皮化促進)に基づくアプローチが強く推奨されています。

特に現場で迷いやすいのがドレッシング材(創傷被覆材)と外用薬の使い分けです。浸出液のコントロールを誤ると、創周囲が白くふやける「浸軟」や、乾燥による肉芽形成不全を招きます。

  • ハイドロコロイド材:浅い褥瘡(ステージII)で浸出液が「少量〜中等量」の場合に適応。自己融解を促し湿潤環境を維持するが、感染創(発赤・熱感・膿性分泌物)には絶対禁忌。
  • ポリウレタンフォーム材:浸出液が「中等量〜多量」の場合に第一選択。優れた吸液性とクッション性を持ち、仙骨部など圧迫を受けやすい部位の保護に適している。
  • アルギン酸塩被覆材:止血作用と高い吸液性を兼ね備え、出血しやすい創や浸出液が極めて多い深部創に使用される。
  • 外用薬(軟膏)の選択:壊死組織がある場合はデブリードマンを促す軟膏(ブロメライン等)、感染兆候がある場合は抗菌作用を持つヨウ素系軟膏(カデキソマーヨウ素、ユーパスタ等)、良性肉芽形成期にはプロスタグランジン製剤(プロスタンディン等)を創の状態に合わせて医師と検討します。
公の場での発言・インタビュー報道記録
【検証資料 3】公の場での発言・インタビュー報道記録(出典:houkan.kaipoke.biz)

一般に知られていない盲点と現場の誤解|絶対にやってはいけないNGケア

長年の慣習や誤った情報によって、臨床現場でいまだに散見される「褥瘡を悪化させるNGケア」が存在します。科学的根拠(エビデンス)に基づいてこれらの誤解を直ちに是正しなければなりません。

【誤解1:発赤部分を血行促進のためにマッサージする】
「赤くなっているから血流を良くしよう」と仙骨部などの発赤部位を揉みほぐす行為は、皮下の微小血管や微細組織を物理的に破壊し、褥瘡を急速に悪化させる致命的なNGケアです。圧迫による初期の発赤(ステージI)は、「除圧と愛護的保護」のみが正解です。

【誤解2:円座クッションで局所を浮かせる】
ドーナツ型の円座クッションは、中央の穴に位置する患部の圧迫を逃がすように見えますが、リング状の接触部分に強烈な局所圧迫と血流障害を生じさせ、静脈環流を阻害して浮腫と組織壊死を悪化させます。現在、褥瘡管理において円座クッションの使用は原則禁止とされています。

【誤解3:とりあえずガーゼを厚めに当てて保護する】
乾燥したガーゼを直接創面に貼付すると、肉芽組織にガーゼ繊維が固着し、交換時に新生組織を剥がしてしまいます。また、浸出液の水分を奪いすぎて創傷治癒に必要な湿潤環境を破壊するため、浸出液が多い急性期や浅い潰瘍部への漫然としたドライガーゼ使用は避けるべきです。

【プロの結論】多職種連携と個別化ケアで「計画倒れ」を防ぐ判断基準

褥瘡看護計画を「カルテ上の文字」から「患者を救う生きたケア」へと機能させるための最大のポイントは、皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)や特定行為研修修了看護師、管理栄養士、理学療法士、医師を巻き込んだ多職種カンファレンスの定例化です。

「この患者は本当に2時間ごとの体位変換が必要なのか」「夜間の体位変換が睡眠を妨げ、せん妄を引き起こしていないか」という視点を持つことが重要です。高機能エアマットレス(自動体位変換機能や常時圧分散機能付き)を導入できている患者であれば、夜間の体位変換間隔を3〜4時間に延長し、患者の安眠と皮膚保護を両立させる柔軟な計画変更こそが、高度な看護判断といえます。

計画の修正は「状態が悪化してから」ではなく、「1週間介入してもDESIGN-Rスコアに改善傾向が見られない時点」で即座にケアプランを再評価してください。この敏捷性(アジリティ)が、重症褥瘡ゼロを実現するための分水嶺となります。

【褥瘡 看護 計画】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:ブレーデンスケールでリスクなしと判定された患者でも、褥瘡ができることはありますか?
A1:はい、十分に起こり得ます。ブレーデンスケールは全身的なリスクを測るツールですが、術中の長時間同一体位固定、医療関連機器圧迫創傷(MDRPU:カニューレやギプス、弾性ストッキングによる圧迫)、急激な血圧低下に伴う末梢循環不全などはスケール外のリスク要因です。局所の機器接触部観察や全身状態の急変を捉えるアセスメントを必ず併用してください。

Q2:看護計画の「OP・TP・EP」はどのくらいの頻度で見直すべきですか?
A2:急性期病棟や褥瘡ハイリスク加算を算定している患者では週1回以上の定期的な評価・見直しが推奨されます。また、DESIGN-Rのスコアに変化があった時、離床が進んだ時、新たな失禁や下痢が出現した時など、患者の身体状況に変化が生じたタイミングで随時更新するのが適切です。

Q3:在宅看護や介護施設で高機能エアマットレスがない場合の体位変換はどうすべきですか?
A3:体圧分散寝具の性能が限られている場合は、ポジショニングクッションを活用して身体の接触面積を広げ、局所圧を分散させることが不可欠です。2時間ごとの体位変換を厳守しつつ、スライディングシートやグローブを用いて「体位変換ごとの背抜き」を徹底し、摩擦とせん断力を極力低減させるケアを計画に組み込んでください。

まとめ:根拠あるアセスメントと継続的な見直しで質の高い褥瘡ケアを

褥瘡の看護計画は、単なる記録業務のルーチンではなく、患者の皮膚組織と尊厳を守るための戦略的な設計図です。ブレーデンスケールやDESIGN-R®2020という客観的な物差しを使いこなし、患者一人ひとりの身体状況、栄養状態、生活リズムに即したOP・TP・EPを立案することが治癒への最短距離となります。

旧来の誤った慣習を排し、最新のエビデンスに基づいたポジショニング、スキンケア、ドレッシング材の選定をチーム全体で共有しながら、日々のケアをアップデートし続けていきましょう。 (出典: 褥瘡 看護 計画(Yahoo!ニュース)

褥瘡 看護 計画
褥瘡 看護 計画
褥瘡 看護 計画